600形

600形~通勤用電車の革命児~


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 600形は100形を置き換える形で1989年に登場した、18m級3扉のステンレス製車両です。当初は500形までと同様に抵抗制御のはずでした。しかし、製造元の川崎車両によると、「地方私鉄におけるVVVFインバータ方式の効果実験」を行うことを条件に、製造費用を安くしてくれるということになりました。川崎車両からすれば実写を使用した実験を行え、城中電鉄からすれば安く車両を導入できる、すなわちWIN-WINの関係が出来ることになります。
 そんなこんなでVVVFインバータが城中電鉄に導入されました。VVVFインバータは城中電鉄の通勤車両に大きな革命をもたらしました。VVVFインバータの大きな特徴として、電動機の大出力化、およびギア比を大きくなったということが挙げられます。今までの直流電動機では最高が150kWでしたが、誘導電動機では200kW以上も珍しくありません。また、ギア比を大きくすることにより、低速性能が高くなります。

 600形も例外ではなく、500形で120kWだった出力を一気に160kWに上昇(これでもVVVFとしては低いくらいというから恐れ入る)させ、ギア比も6.07から7.07にあげました。また、これだけの性能があるということは最高速度が90km/hでは低いくらいです。そこで営業最高速度を100km/hに変更しました。歯車比が高いということは高速域では苦しいのですが、100km/hなら大丈夫だと見切ることにしました。電動車にGTOサイリスタ素子を用いた東洋電機製造製のATR-H8130-RG621A形(素子耐圧4,500V - 3,000A)が搭載されています。この制御装置は前年の1988年に、東急電鉄1000系で導入されたヒートパイプ冷却式8個モータ一括制御VVVFインバータであり、後に日本各地の電車へと普及していきました。このことからも、600形はいわゆる「実験車」だったことが伺えます。

 600形はスペックを見れば分かるとおり、通勤用電車に革命を与えました。高速運転をするためには車体が重いということは許されません。そこで城電としては初のステンレス車を導入しました。ステンレスは塗装の省略できるというのが魅力なわけですが(塗装の手間が省けると全般検査での工程が1つ減る)、導入する際に現場からは「塗装工の仕事を奪ってどうする」と苦情が来たそうです。塗装に対して誇りを持っているからこそ言える発言だと理解し、また、城電の車両である塗装は遠くからでも見えるようになっており、安全面から考えても、塗装を継続することとなりました。
 また、電動機以外では、この600形よりモーターを車軸と平行に台車枠に固定し、大きな偏位を許容する「WN継手」を介してモーターの出力軸と駆動歯車を接続する「WN駆動方式」を導入することとなりました。WN駆動の利点として高出力に耐え、加減速を頻繁に繰り返することができるこの方式が合うと考えられました。また、城電が標準軌を使用していることも、WN駆動を導入することに抵抗がありませんでした。

 …と、このように下回りを記してきましたが、その他の例えば前面ガラスは通勤用車両としては初のパノラミックウィンドウになっていますが、直線ガラスと円柱ガラスの組み合わせで安く仕上げたり、窓も安いユニット窓にしたりと、足回り以外はコストダウンが図られています。
 1996年まで製造され、順次100形と置き換えられていきました。当初はVVVF独特の音が気になるという人も多かったようですが、今ではあまりそのような声は聞かれません。人は順応するものなんですね。現在も城電の主力車両として活躍を続けています。

  • 最終更新:2011-08-21 17:28:44

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